情報漏えいは絶対に起こさない。「データの完全消去・破壊」を担うITAD事業部
神奈川県庁の情報漏えい事件が示唆するもの
2019年12月に発覚した神奈川県庁の情報漏えい事件をご存じでしょうか。
各種メディアに取り上げられて大きな騒ぎとなったこの事件。
神奈川県庁で使用されていた機密情報を含むHDD(ハードディスクドライブ)が大量に外部流出し、インターネットのオークションサイトに出品されたことから明るみに出ました。
調査の結果、情報通信機器のデータ消去と破壊を委託されていた会社の従業員が当該のHDDを盗み出し、オークションサイトへ流していたことが分かっています。
この事件の直接的な原因は従業員の窃盗によるものですが、情報通信機器の廃棄や再資源化・再利用に向けた処理を担う私たちとしては、情報漏えいを防ぐ体制や仕組み作りの重要性を改めて認識させられることとなりました。
興栄商事のITAD事業部は、パソコンやスマートフォンなどの情報通信機器を安全に廃棄したり、再資源化・再利用できるようにしたりするための専門部署として立ち上げられました。
ITADとは「IT Asset Disposition」(情報機器資産の処分)の略。私たちはまさにその名の通りのミッションを担っているのです。

データの完全消去・破壊を担う専門家として
パソコンやスマートフォンを廃棄する際に、多くの方は端末の初期化を行うでしょう。
しかし、ただ端末を初期化しただけでは安全とは言えません。内蔵される部品にデータが残っている限りは容易に復元されてしまうからです。
そのため興栄商事では専門のデータ消去ツールを使用しているほか、機械による「物理的な」破壊も行っています。
ITAD事業部で使用している「ハードディスククラッシャー」と呼ばれる機械は、ハードディスクそのものに穴を開けることができます。物理的にハードディスクを壊してしまうことで、データ復元を不可能にしているのです。
これは高価な設備ではありますが、興栄商事では現在4基を導入しています。お客さまへデータ破壊の証明書を発行する際には、物理的にハードディスクを破壊した状態を写真でお出ししています。SSDクラッシャーや磁気消去装置も取り揃えており、お客さまのご状況に合わせ対応しています。
ソフトウェアの消去においても、世界的に信頼と実績を積み上げているツールを導入し、常に最新設備をそろえた状態を維持していく予定です。
専用の機械を配し、専門スタッフがデータ消去や破壊を担うことで、お客さまへ提示する情報通信機器の買い取り価格が下がってしまうこともあります。「そこまでやる必要があるのか」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
それでも私たちはこうしたやり方を徹底します。データの完全消去・破壊は専門家が担うべきであり、それだけ重要なことであると認識しているからです。
高いモラルを維持する専門家集団へ
冒頭でご紹介した事例が示すように、お客さまに安心して情報通信機器の廃棄を任せていただくためには、スタッフへの教育体制も万全に整える必要があります。
そのため私は「机上でマネジメントしないこと」を信条としています。
机上の空論で考え、指示を出しても、現場の実情は見えません。自分自身が現場に出てスタッフとのコミュニケーションを充実させ、課題があれば、スタッフと同じ目線で解決策を考えていくことが大切だと思っています。
現場のメンバーとは業務に関することはもちろん、ちょっとした日常会話や雑談も含めて、いろいろなことを話します。職場にいるメンバーとは毎日必ず、全員と話すようにしています。
会話をしなければ、一人ひとりの顔色も分からないんですよね。「調子はどう?」といった軽い声がけも大切です。
一方では機密情報を扱う企業として、厳格にルールを守ることを徹底しています。万が一、誰かがHDDを持ち出そうとしても、物理的に捕捉できるセキュリティ体制も整っています。
こうした環境のもとで重視しているのは、「自分で考えて行動できるメンバー」を育成していくこと。
情報通信機器の廃棄や再資源化・再利用に関するニーズは高まり続けており、ITAD事業部には大きな案件が継続的に入ってきます。このような状況だからこそ、指示を待つだけではなく、自分で考え行動できる人材を増やしていきたいのです。
結果的にはそれが、モラルの高い組織を維持することにつながっていくと考えています。
高度な設備や機器をそろえているだけではなく、興栄商事には経験豊富な、高い専門性を持った人材が集まっています。今後もより多くのお客さまに「人材の強み」を知っていただきたいですね。